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2025.06.06

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連載記事「自律的な改善を継続させる」第5回 経営者トーク〈1〉「品質を高めるのは顧客視点。改善活動のおかげで醸成できました」(会長)

連載記事「自律的な改善を継続させる」第5回 経営者トーク〈1〉「品質を高めるのは顧客視点。改善活動のおかげで醸成できました」(会長)

プロジェクトのスタートから全社展開の着手まで1年8ヶ月で到達しました。この大きな躍進の過程に、経営陣はどう関わり、組織・社員たちの変化を見つめていたのでしょうか。

この先の展望を含め、OJTソリューションズのサービス導入を推進した会長と社長に話を聞きました。第5回は経営者トーク〈1〉として、改善が生み出す顧客視点、仕事に対する認識の変容について語った会長の言葉をお届けします。

経営陣がプロジェクトをしっかりサポートすることが重要

——全社展開はいつごろから意識し始めたのでしょうか。

会長

『量から質へ』という体質改善を目指しましたが、私たちの菓子を鮮度の高い状態でお客様にお届けするためには、各部門が連携してバリューチェーンを強化することが必須です(第1回・第4回参照)。そのためには改善活動を全社展開しなければならないと最初から考えていました。

しかし、それよりもわれわれ経営陣が欲したのは、企業理念の中にもある「目的・目標志向でプラス思考で働く社員像」。上からの指示を待つのではなく、現場主体で自ら考え行動できる人材を育てること、そうした組織に変わることを第一に目指しました。自ら率先して仕事に取り組んで成果を上げられれば、その社員は自分の成長を幸福感とともに感じることができる。『ものづくりは人づくり』をテーマにしているOJTソリューションズさんのコンセプトそのものが、まさに私たちの求めていたものだったのです。

——このプロジェクト成功のため、経営陣としてどのように関わりましたか?

会長

「おいしく召し上がっていただくことが最大の顧客満足である」このことがまず、皆の共通理解になるように徹底してメッセージを発信しました。また、改善活動はどうしても、最初は現場の反発をくらうもの。だから、トレーナーのアドバイスを一緒に聞いたり、議論に参加したりして、このプロジェクトは会社の方針で進めているものなのだと、活動メンバーの皆が感じられるようにサポートしました。また、生産現場になるべく足を運び、プロジェクトに関わっている者たちとできるだけ顔を合わせて、声かけするようにしていました。

その時の会話も、プロジェクトが始まる前は、目標の生産量が達成できるかどうかという話題になりがちでしたが、活動が進展するにつれて、品質向上についての話ができるように、自然と変わってきました。

目的志向を徹底することで、顧客視点は作られる

——だんだんと現場が成長し始めたことを実感しましたか?

会長

そうですね。しかも、変わったのは現場のことをよく知っている者ばかりではありません。中核となる専任メンバーの一人は、人事部から製造部スタッフ部門に移ったばかりの、設備に触れたこともない社員でした。トレーナーは彼に、問題をミニテーマに多分割して、現状分析と対策、結果の計測を徹底して取り組ませていました。そして、小さな成功体験を積ませて、ついには大きな生産性向上を達成させたのです。こんなふうに人を成長させるのかと本当に驚きましたね。

——トレーナーの指導への印象はどうでしたか?

会長

自分の経験をいかに伝えるか。当社の社員をどう育てようか、という気迫がすごい。自らの経験の伝承に、仕事を超えた熱意を感じました。

また、トレーナーが何度も口酸っぱく繰り返していたのは、「この仕事は誰のため?何のためにやっているのか?」ということ。ただ漫然と顧客のことを思うのではなく、一つひとつの作業について目的志向を徹底することで、顧客視点は作られていく。自分の部署の役割は何か、管理監督者としての任務は何なのか。改善活動を通じて、顧客視点が間違いなく育ってきた、醸成されてきたと感じます」

製造部の成長が他部門に刺激を与えている

——今回の改善のプロジェクトが、従来取り組まれていたMBO(目標管理)にも影響を与えたそうですね。

会長

従来の製造の現場は作業一辺倒で、与えられたものをこなすだけのルーティン業務のようでした。目指すべきは「仕事=作業+改善」。日々の活動に、改善が加えられることで仕事は高まっていきます。プロジェクトの開始前、一部には「改善などに時間をとられていたら生産に支障をきたす」という声もありました。しかし、成果が上がるにつれ、徐々にこの考え方が全社的に理解されるようになってきました。

一方でこれまで、MBOに長年取り組んできましたが、あまり機能していませんでした。仕事を高めていくための目標管理なのに、改善に対する声と同じように「日常業務の負担になるもの」と捉えられていたのですね。それが、今回の改善プロジェクトを通じて、課題設定、問題解決の意識が植え付けられたことにより、MBOの重要性も理解されるようになったのです。これは、想定していなかった副産物でした。

——全社展開が進展する中、「自分たちもトレーナーの指導をもっと受けたい」という声が上がっていると聞きます。

会長

プロジェクトは製造部から始まりましたが、彼らの成長ぶりを周りが強く感じているのが大きいですね。特に製造部長が変わった。以前は、製造部を守る立場から発言していたのが、今は全社的な視点に立つようになりました。そうすると、他の部長たちも彼に遅れを取ってはならないと火がつく。

また、中間報告会、最終報告会で全てのチームが集まりますが、まだまだ製造部の発表が数段上。管理職だけでなく、現場も刺激を受けて、もっと改善を進めたいと思うようになっていますね。当社はのんびりとしたアットホームな会社風土ということもあり、「改善に楽しんで取り組む」ことを基本としていますが、そうした部門間、チーム間での自然な競争意識を好循環に、さらに自律的に課題解決できる人材、組織に成長していければと考えています。

第6回 経営者トーク〈2〉へ続く

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