改善コラム

2020.09.14

  • 現場改善

品質は「工程」でつくり込む

自工程完結

トヨタには、「品質は工程でつくり込む」という考え方があります。これは、『自工程完結』という言葉に言い換えることができます。


自分の工程で品質を保証できるまでつくり込む、つまり不良が出ないようにすることです。自工程完結は、トヨタ生産方式の2本柱である「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」の実現のために必須となる考え方です。生産される製品が常に良品でなければ、この効率的生産システムは成立しません。生産の工程で作業者が責任感をもって品質を確かめ、良品だけを後工程に渡す。そうしたつくり込みによって、トヨタの生産システムは支えられているのです。

 

たとえば、塗装のラインで、もし塗装にムラがあったり、塗り残したところがあったりすれば、出荷前に塗装をし直さなければなりません。そうすれば、当然、塗料代や乾燥のための電気代が余分に発生し、手間も時間もかかります。しかし、塗装の工程でミスがゼロといえるまでつくり込み、自分でチェックしてから後工程に渡せば、こうしたムダはなくなりますし、検査の工程そのものが必要なくなります。検査そのものは価値を生みません。できあがったものの良し悪しをどんなに検査で精度高く判定できても、製品の品質はよくなりません。検査の工程を省けるほどに自工程完結を徹底できれば、当然、品質は高くなっていきます。

 

後工程は誰?

トヨタには、「前工程は神様、後工程はお客様」という言葉があります。どんな仕事にも自分の仕事を準備してくれる前工程があり、自分のやった仕事を引き継いでくれる後工程があります。不良品を次の工程に流してしまえば、当然、後工程でトラブルが発生し、ラインが止まってしまいます。後工程が仕事をやりやすいように仕事を渡さなければ、多くの人に迷惑をかけ、結局自分の首を絞めることになります。漠然と作業をしていたら、ミスを垂れ流す結果になり、後工程に迷惑をかけます。しかし、自工程完結を心がけていれば、「この事のこの部分は私がつくっているんだ」という責任感も芽生えて、ミスも減っていきます。

 

これは、オフィスの仕事でも同じです。たとえば、上司に頼まれた見積書を作成したときに、計算間違いをしていたら、上司は計算し直さなければなりません。もし上司もそのミスに気づかなければ、あとでお客様とのトラブルになって、尾を引くことになります。「ミスがあっても誰かがカバーしてくれるだろう」というのは甘い考えです。自分がする仕事の品質は、自分の工程でつくり込む。1枚の書類でも間違いがないか、提出する前に校正したり、金額の検算をしたりする。そうした一つひとつのつくり込みが、あなたの仕事の信頼度を高めるのです。

 

まとめ

・自工程完結は不良をなくすしくみのこと

・自工程完結は自分の工程に責任をもつこと(不良を後ろに流さない)

・自分の後工程を「お客様」と考える

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。